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まごころ北九州障害年金申請センター
〒806-0033 福岡県北九州市八幡西区岡田町1-47 堀内ビル2-B
運営:サンキュー労務事務所
相談者は、交通事故をきっかけに頭部CT検査を受けた際に脳腫瘍が見つかりました。その後、頭痛やめまいなどの症状が現れ、脳腫瘍の摘出手術を受けています。以降も入退院を繰り返し、放射線治療や化学療法を受けましたが、その過程で「頼まれたことや自分がしたことを覚えていられない」「自分が話した内容さえすぐに忘れてしまう」といった記憶障害が顕著になりました。
高次機能障害の影響は就労にも及びました。障害があることを理解してもらったうえで仕事に就いたこともありましたが、単純な作業であっても覚えることが難しく、仕事を継続できない時期がありました。その後、就労継続支援A型で農作物収穫作業に従事するようになりましたが、作業手順を覚えられない、指示された内容を忘れる、集中力が続かず作業が雑になるなどの問題がありました。そのため、支援員が常に様子を気に掛け、一人で作業をさせないなど、多くの配慮を受けながら就労していました。
日常生活でも、記憶障害、注意障害、遂行機能障害などによる大きな支障がありました。自分で献立を考え、食材を購入し、調理して片付けるという一連の行動が難しく、家族に依存していました。また、携帯電話などを置いた場所が分からなくなって探し回る、必要な連絡を事前に行えない、金銭を計画的に管理することが難しいなど、日常生活のさまざまな場面で両親や家族からの声掛けや援助を必要としていました。
このような状態から障害年金を請求していましたが、これまでの経緯は非常に厳しいものでした。
1回目の障害年金請求はご家族が行ったものの不支給。2回目は別の社会保険労務士事務所が受任して再請求しましたが、再び不支給となりました。
その後、3回目の請求を当事務所がサポートしましたが、こちらも不支給となりました。そこで審査請求、さらに再審査請求まで行い、再審査請求では公開審理に出席して意見陳述も行いました。ご家族の意見書なども提出しましたが、結果を覆すことはできませんでした。
それから4年後、ご家族から「前回の手続きから数年経ったが、やはり納得がいかない」と改めてご相談をいただきました。
1回目の請求から約10年。こうして当事務所で、4回目となる障害年金請求に取り組むことになりました。
今回の再請求にあたり、まず行ったのが、過去3回の障害年金請求で提出した資料を一から検証し直すことでした。
特に重視したのは、3回目の請求後に行った不服申立ての内容です。再度の請求を検討するうえでは、単に現在の症状を訴えるだけではなく、なぜ以前の請求が不支給となり、審査請求・再審査請求でもその判断が覆らなかったのかを確認する必要があると考えました。
そこで、3回目の請求時に提出した資料と、不服申立てに対する裁決書を時間をかけて吟味し、不支給・棄却とされた理由を改めて整理しました。
そのうえで主治医に対しては、前回の請求が不支給となり、不服申立てでも認められなかった理由と、それに対応する現在の日常生活の状態を対比して示した資料を作成しました。
障害年金の審査で用いられる障害認定基準やガイドラインを踏まえ、当事務所では「規範定立→具体的な事実のあてはめ→結論」という法的三段論法の考え方を用いて情報を整理し、診断書依頼書を作成。主治医に相談者の実際の障害状態が伝わるよう準備しました。
さらに今回、特に重要なポイントとなったのが、就労継続支援A型で働いている実態をどのように伝えるかという点でした。
相談者は就労していましたが、何の支援もなく一人で仕事ができていたわけではありません。作業手順を覚えられず、その都度支援員から教えてもらう必要があり、一人で作業をさせないよう配慮されていました。長期間就労できていた背景には、障害特性を理解した支援員や周囲の方々による継続的な支援がありました。
そこで診断書だけでなく、就労継続支援事業所の担当者にもご協力いただき、A型事業所で実際にどのような状態で働いているのか、事業所がどのような配慮や支援を行っているのかを書面にしていただきました。
病歴・就労状況等申立書についても、就労しているという事実だけではなく、仕事上の困難や支援内容、さらに食事、掃除、金銭管理、対人関係など、日常生活全般で家族の援助を必要としている実態を具体的に整理しました。
過去の提出資料と裁決書を検証し、現在の生活状況と照らし合わせ、診断書依頼書や就労先からの資料、病歴・就労状況等申立書を整えるまで、書類作成に要した延べ日数は1か月以上となりました。
4回目の障害年金請求の結果、高次機能障害(器質性精神病)で障害基礎年金2級が認められ、年間777,800円(令和4年度)の受給が決定しました。
最初の請求から約10年。ご家族による1回目の請求、別の社会保険労務士による2回目の請求、当事務所がサポートした3回目の請求、さらに審査請求・再審査請求を経て、4回目の請求で障害基礎年金2級の決定に至りました。
決定後、ご家族からは、親子ともに将来への不安が募っていた中で、4回目の請求でようやく受給が決まり、家族一同大きな喜びを感じているとのお声をいただきました。また、当事務所のサポートについても感謝のお言葉をいただきました。
今回の事例では、過去に不支給となった経緯があるからこそ、「なぜ不支給だったのか」「不服申立てではなぜ判断が覆らなかったのか」を過去の資料や裁決書から丁寧に読み解き、現在の障害状態と照らし合わせることを重視しました。
障害年金は、過去に不支給となったからといって、その後の請求が一律にできなくなるわけではありません。しかし、請求を重ねるケースでは、過去の請求内容や判断理由を踏まえた検討がより重要になります。
今回、4度目の請求で受給が決定したことは、当事務所にとっても貴重な経験となりました。再度の障害年金請求では、不支給となった理由や、不服申立てを行っている場合にはその裁決書を時間をかけて吟味することで、次の請求に向けたポイントが見えてくることがあります。
そして、1回目の請求から約10年という長い経過を振り返り、障害年金請求では、状況を冷静に分析することと同時に、諦めずに可能性を検討し続けることの大切さを改めて実感した事例となりました。
9月の新規ご相談は一杯になりました。
2026.9.14-9.16は出張のため不在となります。